庭木の剪定適期について

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庭木の剪定適期について

庭木が伸びてしまったのでそろそろ切りたい。でも木にとっていつ切るのが良いのだろうか?落葉樹、常緑樹、庭木には色んな種類があるのだけれど、どれも同じ時期に切ってしまってよいのだろうか?
庭木のお手入は意外にもハードルが高く物理的にはハシゴを立てて切ることが可能だとしても、いざどの枝をどれくらい切って良いものか?躊躇してしまうものです。植木屋にご依頼されるのが賢明なのですが、もしご自身でお手入される場合はある程度のルールを知っておいた方が無難でしょう。
今回は庭木を剪定するのに適した時期について木の立場から考えてみたいと思います。剪定の仕方についてはまた別の回でやりたいと思います。

そもそも適期とは

剪定とは枝を切る事ですから、木にとっては傷を付けられるという事です。傷口を治そうとしてエネルギーを使います。自然界では刃物で剪定されることはありませんが、不要な枝を自ら枯らしたり、他の木の陰になって成長出来ないなど、自然界の中で生きていくために調整しながら自然な姿が形成されています。一方で庭という環境では庭木として適正なサイズに保つために人為的な剪定が必要になります。木にとって剪定されることは想定外の出来事です。想定外の出来事に対応するには通常運転以外に余力を使いますのでかなりのエネルギー消費が考えられます。よって剪定の適期は木のエネルギーが一番充実した時期が良いという事になります。

剪定に良いタイミングは、木に十分なエネルギーが蓄えられている時期

落葉樹の剪定適期

落葉樹は寒い冬を乗り切るために葉を落として休眠します。春から新芽を出し、夏前に十分な枝葉を伸長させます。この時使われるエネルギーは昨年蓄えたエネルギーで、7月頃にはかなりエネルギーの貯金を使い果たした状況になります。ただ枝葉が増えますので光合成が盛んにおこなわれますのでエネルギーの需給バランスが保たれてきます。気温の高い8月はあまり光合成を行いませんので、ややお休みをします。そして9月頃からはまた充実した枝葉の光合成によって来年のためのエネルギーを蓄える時期になります。そして春に使うエネルギーを貯蓄した状態で、厳しい冬を乗り越えるために葉を落として休眠体制に入ります。つまりエネルギーを蓄えているのは冬になります。

落葉樹の剪定適期は冬 7月後半から8月の高温の時期は適さない

常緑樹の剪定適期

常緑樹は常時葉を付けているため、いつでも光合成を行える状態です。そのため落葉樹ほどエネルギーを溜め込む性質がありません。それでも光合成の盛んな時期はエネルギーが多くなりますし、光合成が行われないような時期(5℃以下の寒い時期や30℃以上の熱い時期)は蓄えたエネルギーを使いながら生きていますのでエネルギーが少ない時期と言えます。光合成にとって25℃前後が一番最適な気温になりますので4月~6月、10月くらいがエネルギーの蓄えも多い時期と言えます。

常緑樹の剪定適期は「春」4月~6月「秋」10月 「秋」以降はエネルギーが減るので「春」の方がより適している

理屈を含めて実際のところ

植木屋としてお客様からのご依頼に対応する場合について実際のところをお話しします。全ての庭木に適した時期が無いのは先述した通りおわかりかと思います。それぞれの木にとって適した時期に都度お伺いすることも可能ですが、実際は年に1度のお手入のご依頼がほとんどです。やはりニーズに合わせてお手入をしていくのがサービス業としての役目になりますので、ご依頼をお受けしたタイミングで可能な範囲をお伝えしながら作業を行います。ご依頼の多い時期は旺盛に伸びた6月下旬~9月と暮れの11月下旬~12月になります。常緑樹主体のお庭でしたら春夏、落葉樹主体でしたら秋冬の時期をお勧めしています。また出来るだけ強剪定しないで済むように年に一度のお手入をお勧めしています。

まとめ

剪定に適した時期とはエネルギーが充実した時期という事になります。強剪定したい場合は適した時期を選ぶことで枯れるリスクを減らすことが出来ます。軽い剪定についてはいつでも大丈夫でしょうし、常緑樹は3月もこれから旺盛に向かう時期なので適期と言えます。新芽が柔らかい時期は作業によって痛めてしまうので避けた方が良いでしょう。落葉樹に関しても冬以外でも剪定して構いませんが、強剪定は冬が無難でしょう。
木の生理的なサイクルを理解して、無理の無いお手入をしましょう。
お手入の技術的なお話しはまた別の回でやりたいと思います。

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